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[知恵袋]
M型スクリーン改造記[2](1.07版)
なぜ改造しなければならないのか
スクリーンの予備知識
M型とST用のスクリーンの違い
改造マット制作記他
他のカメラへの応用について
製作著作
なぜ改造しなければならないのか−改造の目的−
Contax系のファインダーはとても明るく見やすいと思います。ただし明るいファインダーと引き換えにピント合わせは大変です。それはあまりボケがよく分からないからです。(これについては次項「スクリーンの予備知識」で詳しく説明します)これをミノルタα−9のM型のスクリーンを加工しSTに入れる事により、ピント合わせのしやすいファインダーが出来上がります。改造後ピント合わせの特に難しかったゾナー180mmf2.8をSTに付けた場合、ピント合わせのしやすさは劇的に向上しました。
(メーカー側では、全面マットは暗いレンズ用に設計されています)
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スクリーンの予備知識
- マットを抜いた状態でファインダーを覗いてみると小さい像が見えますが、ボケ等は全く分かりません。
- スクリーンマットは片側が素通しで、もう一方は荒れた(というかわざと凸凹を作った)スリガラス状態になっています。こちらの凸凹の面をマット面と呼びます。STの場合マット面は下側(ミラー側)を向いています。このマット面に像が乗ります。
- マット面の凸凹の大きさや形状などによってファインダーの見え方は大きく左右されます。凸凹をキメ細かくし、素通しに近い状態にすれば、レンズから入ってきた光の拡散は少なくなるので明るいファインダーになります。ただし光が拡散されない為にボケが分かりにくくなります。
- 凸凹を大きくすると、光が拡散されるためにボケがよく分かるようになります。ただしファインダーに届く光のロスが大きくなる事を意味しファインダーは暗くなります。
- M型スクリーンでは、規則正しいデコボコにする事で光の拡散をさせるものの、ファインダーに届く光のロスを出来る限り少なくするマットに仕上がってます。詳しくはα−9のカタログ等を参照してください(ミノルタの回し者のような文章だ^^;)
- ミノルタではM型の他、特に明るいレンズ用にM2というスクリーンもあります。また方眼タイプのML型というスクリーンもあります。M、ML型は一般のカメラ屋で取り扱ってくれますが、M2型は一般のカメラ屋では取り扱ってくれない為、入手にはミノルタのサービスセンターに直接電話する必要があります。
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M型と、ST用のスクリーンの違い
図1
実際の改造に先立ちスクリーンを削る前にはまず、両者の違いをよく見ておく必要があります。
- M型の方が長辺、短編とも長い。
- M型にはピンセットタブが2つついている。STにはCに相当するタブが無い。
- ピンセットタブAとBでは、位置が違う(ほぼ対称)。
- ピンセットタブAの方がBより幅が狭い。
- M型スクリーンの方が厚みがある。
- M型スクリーンはマット面が上側で、STの方は下側である(図では網掛けにしてみました)
- M型は角があるが、STは角がとってある(図の作成ツール上、STの方は角がまるく表現されているが、実際には直線です)
- 中心の指標が違う
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改造マット制作記他
改造と言っても、要はM型スクリーンを削りSTのスクリーンと同じ大きさにするだけの事です。以下に手順と注意点を述べます。M型スクリーンは非常に柔らかいプラスチックでできている為に簡単に加工ができますが、反面傷つきやすいので作業は慎重に行って下さい。あまり神経質になるのも考え物ですが……。
図2
タブC
タブA 図の黒ふちのように、周りに縁取りがしてある。
- まずは全く不要なピンセットタブCを切り落とす。
- タブAも切り落とします。これはスクリーン浮きの対策で切り落としてしまった方が加工が楽です。私は切り落としました。切り落とさない方法については後述。
- 図2をご覧下さい。図の黒縁のようにスクリーン周りがほんのすこし厚くなっていて、縁取りがしてあります。この為、実際に削り始めると最初の2往復位で一皮剥ける感じがするはずです。この縁取りを除去しないとスクリーン浮きの原因になってしまいます。もし中央の指標がズレても構わないという場合でも、4面の内2面だけを削ればいいというわけではなく、一端は4面すべてを削りこの縁取りの部分を除去しなければなりません。
- タブAを切り落とさずに使う事も出来ます。この場合スクリーンをピンセットでつまめて便利なのですが、前出のように縁取りを除去しなければなりませんので加工は複雑になります。タブAを残されたOSARUさんによれば、タブAについている小さい突起を落とし、タブの内側を削り、タブ自体も薄くする必要があるとの事でした。この作業はスクリーンを傷つけ易い為に、加工に自信の無い方はタブAを切り落とした方が良いと思います。
- この後は4面の内2面だけ削って大きさを合わせてもOKです。2面しか削らない場合はスポット測光の指標がズレてしまいます。特にこだわらない方は、スクリーンの中心に×印などをつけてもいいかもしれません。
- カメラのスポット測光を多用する方で4面とも削り中心の指標を合わせた方にOSARUさんがいらっしゃいますが、彼によれば、図1の矢印のついている面をタブAのついている面より多く削らないと指標が中心に合わないそうです。
- 私は、ヒマに任せてやすりでマットを一気に削ってしまいました。紙やすりをテーブルに敷いてスクリーンを移動させました。スクリーンマット自身は柔らかい材質なので、十分削れます。
- STに入れる場合、角を削らないと入りません。最初知らずに少し削りすぎてしまったようです。私のファインダー上部が少し暗くなってしまいました。
- 削りカスの対処には、AKKOさんから、オタフ○ソースの空容器に、掃除機のノズルをつけて削りカスを吸うと良いと聞いております。K.J.さんからは無水アルコールで洗い流すといいと聞き、洗いました。アルコールに短時間浸けたくらいでは変色したり溶けたりするような材質ではなさそうです。
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他のカメラへの応用について
- レンズから入ってきた光は、マット面に光が拡散されて像が乗ります。この為、フィルム面とマット面はミラーからの距離が等しくなければなりません。
- M型スクリーンはマット面が上で、ST用は下を向いています。その為M型スクリーンをSTに入れる時には表裏を逆さまにします。
- この事は、もし他のカメラにM型スクリーンを入れてみたいという場合、そのカメラのマット面が下側を向いている場合にはM型スクリーンをひっくり返して入れれば使えてしまう可能性が高い事を意味します。
- また、カメラのマット面が上側(ペンタプリズム側)を向いている場合には、M型のスクリーンと同じ厚みの場合は簡単に入るでしょうが、厚みが違う場合にはピントが狂ってしまう可能性が大きい事を意味します。
製作著作
- 本HTMLによる文献の著作権はグルッペツァイスにあります。
- 執筆責任はふやにあります。
- ご意見、疑問等何かありましたらグルッペツァイスの掲示板にご記入下さい。
- この文献の製作にあたり、以下の方の方のご協力、ご意見を頂いております。
もも, OSARU, K.J, AKKO, いわおmittコブ,nigel,SASA
FPHOTOで親切にデータ等のコメントを頂いた谷山さんに感謝致します。また、最初にスクリーンを入れたFPHOTOの方に敬意を表します。
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